研究テーマ

コンピュータグラフィックスに関する研究

コンピュータが登場して以来、思い通りの映像を作り出す技術の実現は多くの人の夢でした。数々の研究の積み重ねによって、今では実写と区別できないほどリアルな映像が、映画、ゲーム、広告、そして医療などの幅広い分野で活用されています。これらの映像は、1秒間に数十フレームの画像から構成され、各画像は数百万の画素から構成されます。つまり、一つの映像を作り出すために膨大な、そして高度な計算が必要となります。
コンピュータグラフィックスを支える技術は主に、映像に表示される物体の形を構築する技術(形状モデリング)と、各画素の色を計算によって決定する技術(レンダリング)、対象物に時間軸の変化を加える技術(アニメーション)から成ります。私どもの研究室では、よりリアルな映像を、より高速に作り出すにはどのようにしたらよいか、またこれまでに成し遂げられた成果を活用し、コンピュータグラフィックスをより豊かな社会づくりに活かすには、どのようにしたらよいかを考えます。

折紙設計に関する研究

日本の伝承的な遊びとして「折紙」は多くの人に親しまれています。あまりに身近すぎて、うっかり見過ごされがちですが、折紙は幾何学的な観点から、とても興味深い研究対象です。1枚の紙を折るだけで作ることができる形とは、どのようなものだろうか。どのようにしたら、折紙の形を設計できるだろうか。このような問題に、数学とコンピューターの力を使って研究に取り組むと、新しい発見がたくさんあります。たとえば、従来の試行錯誤による発見的なアプローチでは難しかった、曲線での折りを持つ折紙もデザインできるようになりました。そして、新しい「折り」のデザインは、服飾やパッケージへ応用でき、また「折りたたみ」の技術は多くの産業分野で活用できます。

デジタルファブリケーションに関する研究

3Dプリンタやレーザーカッターなど、コンピュータによるデジタル制御でモノづくりを実現するための機器が普及してきました。このような便利な道具が安価になり、家庭でも使えるようになったとき、いったいどのようなことが起こるでしょうか。家庭でのモノづくりを支援するためには、自分の欲しいものを自分で設計できることが重要です。ソフトウェアによる設計支援によって、楽しい便利なものが簡単に作れる世の中を目指します。





研究室の様子

研究活動・イベント

週2回の全体ゼミ、週1回のグループミーティングに加え、個別の研究打ち合わせを適宜行っています。春の新歓イベント、夏の合宿、忘年会、送別会などのイベントのほか、卒業生を招いての集まり、年報の発行などを通じて、つながりを大事にした研究室運営を行っています。 学生に対しては、学外での研究発表を積極的に推奨しています。学類生は国内での学会発表、大学院生は国外での発表を通じて、多くのことを学ぶことができると考えています。そのために、優れた研究を行えるような支援を心がけています。 イベントや学会発表などの様子は、研究室のブログを通して発信しています。



ゼミ合宿での研究会(上)とエクスカーションの様子(下)

設備

コンピュータサイエンス専攻の研究室であり、基本的にはアルゴリズム(ソフトウェア)の研究開発がメインとなるため目立った設備はそれほどありませんが、デジタルファブリケーションのテーマを中心とした、以下の備品・機器類があります(2014年現在)。


3D プリンタ(Cube X)
 
 

大判カッティングプロッタ
(グラフテック FC4500)
 

ヘッドマウントディスプレイ
(Vuzix STAR1200XL)
 

3D 形状測定機器 ShapeTape
 
 

撮影用スタンド
 
 

書架
(CGに関する洋書が多数あります)
 

作品ショーケース
(折紙作品を陳列しています)
 

研究室の様子
 
 

卒業生の進路

これまでの卒業生の進路は主に次のようなものがあります。

学類および博士前期課程の修了生

NTTドコモ、DeNA、ライゾマティクス、サイバーエージェント、ミズノ、任天堂、ソニー、ドワンゴ、マーベラスエンターテイメント、チームラボ、KLab、NEC、富士ゼロックス、三菱プレシジョン、Live2D (旧社名: サイバーノイズ)、NHK、ZOZO、カプコン、群馬銀行、理想科学工業、 NTT研究所、東芝、図研、フジフイルムソフトウェア、牧野フライス製作所、フロムソフトウェア、日立製作所、シャープ、三菱重工、アイシン精機、ジーシーシー、インフォコム、富士通Japan

博士後期課程の修了生

早稲田大学理工学術院総合研究所・研究院助教、東京工科大学・助教、Northwestern Polytechnical University(中国)助教、サイバーエージェント、楽天

研究室メンバー募集

私たちの研究室で一緒に研究をしませんか? 私たちのところでは、コンピュータグラフィックス、折り紙の幾何、デジタルファブリケーションを主なテーマとして研究を行っていますが、企業と進めている共同研究のテーマに取り組んでもらうこともあります。自ら「これをやりたい」という強い希望があるのであれば、是非そのテーマに取り組んでもらいたいと思っています。意欲のある学生を募集しています。

情報科学類2年生へ

「コンピュータグラフィックス基礎」の授業を是非履修してください。この授業では、私たちの研究室で研究に取り組むうえで必須となるCGの基本を学習します。

特別演習でコンピュータグラフィックスに関するテーマを扱います。希望される場合は特別演習を履修し、初回の説明を聞くようにしてください。希望するアドバイザ教員と面談を行うことになります。定員数を超えた場合は希望に添えない可能性があります。 3年へ進学する際に主専攻振り分けがありますが、私たちの研究室は「知能情報メディア主専攻」になります。

情報科学類3年生へ

主専攻実験で、当研究室の教員が提案するテーマを是非選択してください。コンピュータグラフィックスの形状モデリングで必要となる技術を身につけることができます。どのような内容かを、こちらのページで見ることができます。

4年生の卒業研究配属の希望を出す前に、例年2回の研究室公開を行っています。是非、研究室の雰囲気を見に来てください。

大学4年生の学生へ(大学院博士前期課程への進学)

大学院への進学には大学院入学試験(8・9月期または2月期)に合格するか、学類内で推薦が決まっている必要があります。 大学院入学試験の日程など詳しい情報はこちらをご覧ください。学外より受験を希望する場合、事前に研究室へ見学にいらしてください。受け入れ可能かどうかの面談も行います。

修士2年の学生へ(大学院博士後期課程への進学)

8・9月期と2月期の2回、入学試験があります。大学院入学試験の日程など詳しい情報はこちらをご覧ください。当研究室への配属を希望する場合は、事前に研究室へ見学にいらしてください。受け入れ可能かどうかの面談も行います。

企業様へ(共同研究募集)

CG、3D形状設計、「折り」に関する技術、その他、当研究室の行っている研究に興味がありましたら、気軽にお問い合わせください。

これまでに、企業様と一緒に取り組んできた企画、共同研究の主なものに、次のようなものがあります。

  • 物理シミュレーションを組み合わせた、金網フィルタの濾過性能評価のためのシステム開発
  • 折りのパターンを用いた、新しい服飾デザイン創出の支援
  • オンラインアパレルショップのための、仮想試着システムに関する研究
  • ベビーカーの幌のデザイン設計支援

上記以外にも、製品パッケージのデザイン、紙製加湿器のデザイン、自動車ハンドルの皮革カバーデザイン、などに関するご相談も受けています。

企業様への協力の仕方には、次のような方法があります。

  • 共同研究:期間を定めて、研究課題について共に研究を行います。
  • 受託研究:期間を定めて、研究を私どもに委託していただきます。
  • 学術指導:期間を定めず、学術的な内容に関する質問に対して個別にアドバイス差し上げます。

研究予算、成果物に関する権利関係などは、個別に相談させていただきます。

大学での研究室の運営をスムーズに行うためには、ある程度の研究費が必要になります(論文投稿料、学会発表旅費、システム開発用機器およびソフトウェア代金、実験用物品、学生アルバイト謝金など)。企業様との連携で、これらの研究費を賄うことができれば大変ありがたいと考えています。

また、奨学寄附金も歓迎いたします。

お気軽に声をおかけください。